2. 1期治療の治療方針と装置の選択肢
3.1期治療は「今やるべきか」ではなく「未来にどうつなげるか」
4. 横浜市青葉区の歯医者 荏田ファミリー歯科・矯正歯科の矯正治療
小学校低学年の時期に訪れる学校歯科検診。永久歯が生え始めるこの時期は、歯並びや噛み合わせの異常が見つかりやすく、保護者の方が「そろそろ矯正が必要かもしれない」と感じ始めるタイミングでもあります。
実際に、仕上げ磨きをしている際に「下の前歯が重なってきた」「咬み合わせがズレているかも」と気づかれる保護者の方も多くいらっしゃいます。そして歯科医院を受診すると、「今が始めどき」「早めにアゴを広げたほうがいい」とアドバイスを受け、小児矯正(1期治療)を開始されるという流れが一般的です。
しかし、本当にその治療は“今すぐ必要”なものなのでしょうか? 1期治療は、タイミングを誤ると本来必要なかったはずの治療が長期化したり、結果的に2期治療で抜歯が必要になったりすることもあります。矯正治療はお子さんにとっても保護者にとっても大きな決断です。だからこそ、「早く始めること」より「正しく終えられるかどうか」を見据えることが大切です。
このページでは、1期治療に特化して、その目的・注意点・装置の種類、そして私たちがどのような考えで治療に取り組んでいるかをご紹介します。
1. なぜ1期治療が必要なのか?
1期治療とは、乳歯と永久歯が混在している「混合歯列期」に行う矯正治療のことです。主に小学校低〜中学年の時期に該当し、骨格や噛み合わせ、歯列の土台を整えることを目的としています。
■1期治療の主な目的
・上下永久歯の不適切な咬み合わせ(早期接触)により歯や歯茎に外傷が生じる(咬合性外傷)ことの予防。
・永久歯が並ぶスペースの確保
・上下の顎のバランス調整
・噛み合わせの誘導(受け口・出っ歯など)
・舌・口まわりの筋機能トレーニング(口呼吸、低位舌など)
この時期に適切にアプローチすることで、2期治療(永久歯がすべて生え揃った後の本格矯正)が不要、または短期間で済む可能性があります。
ただし、実際には「1期治療だけで満足のいく歯並びが完成する症例」は全体の約3割程度です。つまり、約7割のお子さんは2期治療が必要になる可能性があるということです。
■1期治療の診断に必要なのは「将来を読む力」
我々アジア系は鼻が白人程高くないことが多いので、歯列の凸凹を並べることで口元の突出感が悪化してしまうことがあります。
よって1期治療の診断では「12歳頃にすべての永久歯が生え揃った時、どんな歯列・顔貌になるのか」を予測することが重視されます。そして、将来的に便宜抜歯が望ましいと診断される場合は、必要以上に歯列を拡大しすぎないで、2期治療での選択肢を残す治療方針が取られています。
■矯正治療技術の進化と非抜歯への可能性
歯科矯正装置の技術革新によって、奥歯の遠心移動(後方への移動)が2mm程度であれば現実的に行えるようになりました。これにより、以前は抜歯が前提だったような症例でも、歯を抜かずに治療できる可能性が広がってきています。
つまり現在では、1期治療で土台を整え、2期で非抜歯の選択肢を維持することが戦略的に可能になっています。
ただし、すべてのケースで歯を抜かずに治療できるわけではありません。見た目のバランスや機能面から、便宜抜歯が適している場合もあります。
大切なのは、1期治療の診断時に、将来の2期治療を想定しておくことです。この見通しが不十分だと、混合歯列期にやみくもに拡大治療を行い、結果的に前歯が突出してしまい、再度2期治療で後退させる羽目になることもあります。
2. 1期治療の治療方針と装置の選択肢
■当院の基本方針
当院では、以下のような方針で1期治療に取り組んでいます。
・可能な限り1期治療のみで満足いただけるよう全力を尽くします。
・永久歯列完成後の2期治療が望ましいと判断される場合は、その見通しを丁寧にご説明し、不要な1期治療を避けるよう努めます。
無理に治療を勧めることはしません。症例によっては「今は治療を始めない方が良い」という戦略的待機(=経過観察)をご提案することもあります。とくに、治療が長期化する可能性がある場合や、口元の突出など美容面でのリスクが高まると考えられる場合には、慎重に判断することが大切だと考えています。
■ 使用する主な装置
上下一体型マウスピース(プレオルソなど)
・柔らかい素材でできており、就寝時+日中1時間の使用
・口腔筋機能の改善(口呼吸・舌の位置)にも効果
・装着は在宅時のみ、学校に持っていく必要なし
・受け口・出っ歯・深いかみ合わせなどの前歯の不正に適応
上下分離型マウスピース(インビザラインファースト・エンジェルアライナーkIDなど)
・透明なアライナー型で目立ちにくい
・食事中は外す必要があるが、装着感が良好
・すきっ歯・軽度の凸凹などに適応
・薄くて話しやすく、透明なため目立ちにくい
その他の選択肢
必要に応じて、床矯正装置、リンガルアーチ、部分的なブラケット装置なども選択肢として使用します。すべては症例の適応とお子さんの生活スタイル、性格、成長発達の段階を総合的に見て判断します。
3.1期治療は「今やるべきか」ではなく「未来にどうつなげるか」
1期治療は、早く始めれば良いというものではありません。お子さんの成長に合わせた“ベストなタイミング”で治療を始めること。そして2期治療の必要性を見据えて診断を行うことが非常に重要です。
当院では、「今すぐ治療が必要」と言われたケースであっても、初診相談の結果として「今は待った方が良い」と判断することも多々あります。それは、お子さんと保護者の方の将来の負担をできる限り軽減するためです。
< 私たちの診療姿勢>
①1期治療で終了できる症例には最短で効果的なアプローチ
②2期治療が前提の症例には、過剰な介入を避けた経過観察
③お子さんの将来を見据えた、持続的に安定した治療方針の提示
「すぐに始めたほうがよいかも」と思ったときこそ、いちど立ち止まり、“本当に今必要なのか”を一緒に考えてみませんか?
初診相談では、現状と将来の見通しを丁寧にご説明いたします。お子さんの健やかな成長と笑顔のために、最良の選択をご提案できれば幸いです。
4. 横浜市青葉区の歯医者 荏田ファミリー歯科・矯正歯科の矯正治療
横浜市青葉区の歯医者 荏田ファミリー歯科・矯正歯科は、東急田園都市線「江田駅」東口徒歩7分の場所にある、青葉区・都筑区エリアに根ざした地域密着型の歯医者です。
①通いやすく、続けやすい診療体制・矯正をしながらの治療や予防も対応
荏田ファミリー歯科・矯正歯科は、東急田園都市線「江田駅」東口から徒歩7分。駐車場は8台分完備。青葉区・都筑区はもちろん、横浜市内や都内などにお住まいの方がお仕事や学校などで忙しい方でも通いやすいよう、土曜はもちろん、日曜も診療、オンラインでも矯正相談を受け付けております(夜間なども対応可能)。ベビーカーや車イスをご利用の方も安心して通院いただけるよう、院内はバリアフリー設計です。矯正しながらの治療や矯正治療中にできる限り虫歯にならないよう予防歯科的治療にも力を入れています。
②丁寧なカウンセリングと精密な診査
矯正治療は長期間にわたるため、不安や疑問をしっかり解消したうえで治療に臨んでいただけるよう、治療前のカウンセリングを重視しています。必要に応じてCTや口腔内スキャナーなどの機器を用いて、歯や顎の状態を詳細に確認し、治療内容・期間・費用について丁寧にご説明いたします。
③さまざまな矯正方法に対応
当院では、目立ちにくいマウスピース型矯正装置(インビザライン・エンジェルアライナー)をはじめ、ワイヤー矯正、部分矯正、小児矯正向けのプレオルソなど、複数の選択肢をご用意しています。患者さんのご希望やライフスタイルに応じて、適切な矯正プランをご提案いたします。
歯並びや噛み合わせのお悩みは年齢を問わずご相談いただけます。
まずは初回カウンセリングにて、お口の状態を確認し、治療の選択肢をご案内いたします。矯正治療に関する疑問や不安にも丁寧にお応えしますので、どうぞお気軽にご相談ください。
まとめ
矯正治療は、お子さんの将来にかかわる大切な治療です。
大切なのは、「早く始める」ことではなく、「正しいタイミングで、正しい方法を選ぶ」ことです。
治療の必要性が高いケースでは、早期介入が功を奏することもありますが、不要な治療を早く始めてしまうと、結果的に治療期間が長引いたり、2期治療で大きな負担になることもあります。
だからこそ、1期治療の診断においては、2期治療の可能性をしっかり見極める力が求められるのです。
矯正治療は「見た目の改善」だけでなく、「噛む」「話す」「呼吸する」といったお口全体の機能を整えるための大切な手段です。
歯医者でじっくり相談し、未来を見据えた選択をしていきましょう。
鹿児島大学卒業
新潟大学大学院にて歯学博士(歯科矯正学)取得
インビザライン プラチナエリート ドクター
※インビザラインでの症例数が年間101~150症例のドクターにのみ与えられる認定です。